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東京高等裁判所 平成12年(ネ)648号 判決 2000年7月18日

控訴人 株式会社 千葉工業

右代表者代表取締役 千葉哲也

右訴訟代理人弁護士 大原義一

被控訴人 ジェイ・ピー・三十六株式会社

右代表者代表取締役 松井健郎

右訴訟代理人弁護士 西村國彦

同 町田弘香

同 木下直樹

同 松井清隆

同 泊昌之

同 松村昌人

同 蓮見和也

同 松尾慎祐

同 上田直樹

同 久保健一郎

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴人が当審で追加した予備的請求を棄却する。

三  控訴費用及び右予備的請求についての訴訟費用は、いずれも控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  (主位的請求)

被控訴人は、控訴人に対し、二五一五万円及びこれに対する平成三年一月一八日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

(当審で追加した予備的請求)

被控訴人は、控訴人に対し、五〇〇万円を支払え。

3  訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人らの負担とする。

4  仮執行宣言

二  被控訴人

控訴棄却

当審で追加された予備的請求棄却

第二事案の概要

一  本件事案の概要は、次のとおりである。

被控訴人とゴルフ入会契約(以下「本件契約」という。)を締結した控訴人は、被控訴人が開場予定日を過ぎても開場しないとして、(1)債務不履行に基づき契約を解除する旨の意思表示をした、(2)契約締結の際に、控訴人は、開場予定時に開場できると信じた点で錯誤があったから本件契約は無効である、(3)被控訴人は、開場予定時に開場できる見込みがないのに開場予定時に開場できる旨虚偽の説明をして控訴人を欺罔し、右の時期に開場できると誤信した控訴人をして本件契約を締結させたので、右詐欺を理由として控訴人は本件契約を取り消す旨の意思表示をする、(4)本件契約は被控訴人の代理店日本広販の社員が控訴人の事務所を訪問して契約の申込みを行い、これに基づいて締結したものであるところ、右社員は控訴人に対しいわゆるクーリングオフを告知する書面を交付していなかったので、控訴人は本件契約を解除する旨の意思表示をする等と主張して、預託金等の返還を求めた。これに対して被控訴人は、本件開場遅延は社会通念上許容される期間内にあるので債務不履行には当たらず、本件解除の意思表示はその効力を生ずる理由がなく、仮に本件開場遅延が社会通念上許容される期間を超えるもので債務不履行に当たるとしても、控訴人は本件ゴルフ会員権の購入に当たり株式会社東京ビルファイナンス(以下「東ビル」という。)から融資を受け、右融資に基づく借入金債務を被担保債権として本件契約に基づいて有するゴルフ会員権(以下「本件ゴルフ会員権」という。)に譲渡担保権を設定したので、控訴人は本件契約を解除することはできない等と主張して争い、請求棄却の判決を求めた。原審は、控訴人は本件ゴルフ会員権に譲渡担保権を設定しているので本件契約を解除することはできないとしたうえ、その余の控訴人の主張もいずれも理由がないものとして、控訴人の請求を棄却した。

控訴人は、当審において、開場遅延等の債務不履行によって被った損害の賠償を求める請求を予備的に追加し、被控訴人は、開場遅延につき被控訴人に帰責事由はなく、また控訴人には金銭的損害は発生していないとして、請求棄却の判決を求めた。なお、原審において控訴人は、本案前の抗弁として訴え却下の判決を求めていたが、原審はこれを排斥して本案について判断したところ、当審において被控訴人は、右本案前の抗弁を撤回した。

二  本件において「争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実」は、原判決書三頁六行目冒頭から同五頁二行目末尾までと同旨であるからこれを引用する。

三  争点及び争点についての当事者の主張

1  債務不履行を理由とする控訴人の本件解除は有効か。

(被控訴人の主張)

(1) 本件開場遅延は社会通念上許容される期間内にあり、債務不履行に当たらない。

(2) ゴルフ会員権についての譲渡担保権は、債権質の場合と同様に、目的債権についての交換価値を排他的に支配する権利であるから、本件ゴルフ会員権についての管理及び処分の権限は、譲渡担保権の設定とともに東ビルに移転したものである。控訴人は、東ビルの同意なくして、本件ゴルフ会員権について、譲渡担保権を侵害するおそれのある処分及び取立等の行為をすることはできないところ、本件契約の解除は本件ゴルフ会員権を消滅させる行為であって、譲渡担保権を侵害する行為であることは明らかである。したがって、控訴人は本件契約の解除権を行使することができない地位にあるのであって、控訴人の解除の意思表示は無効である。

(控訴人の主張)

(1) 本件開場遅延は社会通念上許容される期間を超えるもので、債務不履行に当たる。

(2) 被控訴人に債務不履行が存する以上、解除権の行使自体は譲渡担保権の有無によって妨げられず、解除は有効である。

2  本件契約は、錯誤により無効か。

(控訴人の主張)

控訴人は被控訴人から、本件ゴルフ場が平成四年一〇月に開場予定であるとの説明を受け、それを信じて本件契約を締結したが、開場は五年以上遅れ、控訴人の本件契約締結の意思表示には要素の錯誤があるから無効である。

(被控訴人の主張)

右開場の遅延は、結局のところ、将来の見通しと現実の結果とが食い違っていただけであって、契約締結当時に控訴人の内心の意思と客観的状況との間に齟齬が存在していたわけではないから、契約の無効原因となる錯誤には当たらない。

3  本件契約締結に当たって、被控訴人は控訴人を欺罔したか。

(控訴人の主張)

被控訴人は、本件ゴルフ場が平成四年一〇月には開場する見込みがないことを知りながら、これを知らない控訴人に対し、平成四年一〇月には開場する旨虚偽の説明をして控訴人を欺罔した。

(被控訴人の主張)

否認する。

4  控訴人は、本件契約についてクーリングオフの主張ができるか。

(被控訴人の主張)

本件契約は、訪問販売等に関する法律一〇条一項一号の適用除外(営業行為)に該当するので、控訴人は、いわゆるクーリングオフの告知を内容とする書面の交付を受けていないことを理由として、本件契約の解除を主張することはできない。

(控訴人の主張)

控訴人は土木工事を業務とする会社で、本件契約を締結したのは、代表者である千葉仁也の個人としての趣味であるゴルフのプレイを目的としたものであって、控訴人が営業としてしたものではないから、右適用除外には該当しない。

5  控訴人は、被控訴人に対し、開場遅延と開場したゴルフ場が本件契約と異なることを不完全履行として、入会金相当の五〇〇万円の損害賠償を求めることができるか。

(控訴人の主張)

仮に本件契約の解除が認められないとしても、開場遅延及び開場したゴルフ場の当初の入会契約との著しい内容の差異は不完全な履行であるといわざるをえず、被控訴人は控訴人に対しこれにより生じた損害の賠償をする責任があるところ、控訴人が入会に値するサービスを何一つ受けていないことを考えれば、控訴人は少なくとも入会金五〇〇万円の損害を受けたというべきである。

(被控訴人の主張)

控訴人は開場遅延及び開場したゴルフ場が本件入会契約と異なることにより金銭的損害を被っていない。

第三当裁判所の判断

一  開場遅延を理由とする解除について

1  本件契約におけるゴルフ場開場の履行期

被控訴人が会員を募集するに当たり発行していたパンフレット(甲一〇)には、本件ゴルフ場の開場予定時期として平成四年一〇月と記載されてはいるが、一般に、本件のようにゴルフ場の建設工事中の時点において、将来における完成、開場を見込んで本件のような契約が締結された場合において、履行期を記載した契約証書も作成されておらず、右のように募集パンフレットに「開場予定/平成四年一〇月」と記載されていたにすぎないような場合には、その履行期は、早くとも平成四年一〇月以後であって、その後のゴルフ場建設工事の進捗状況並びに当時の社会経済状況に照らして、右工事の遅延に関して予想される合理的な遅延期間が経過した時という、かなり幅のある弾力的なものであったとみるのが相当である(最判平成九年一〇月一四日判時一六二一号八六頁)。

けだし、一般にゴルフ場建設工事は、用地買収等に思わぬ長期間を要したり、予測し得ない自然的要因や技術的要因などによって建設工事以上の期間を要することは珍しくなく、当初予定の期間内に建築工事が完成しないこともあり得ることが十分に予想されるところ、実際にも本件契約が締結された平成三年当時のわが国においては、建設工事中に将来の完成を見込んで会員募集が行われたゴルフ場について、その開場が当初の予定より数年程度遅れることが常態化していたのに対し、この種の募集に応募して入会契約を締結する側においても、将来の会員権の値上がりを期待して、ゴルフ場の開場が確かで、そのゴルフ場の場所とか、いわゆるグレードや提供されるサービスに大きな差異がなければ、その時期の遅れやゴルフ場の名称や経営主体の異同についてはあまり厳格に考えないのが一般的であったことは公知の事実であって、控訴人が特にその例外であったとの事情は認められないからである。

2  本件ゴルフ場の開場

(1) 《証拠省略》によれば、被控訴人は株式会社日本エネルギー商事(旧商号・株式会社北関東石油)の資金援助を受けて本件ゴルフ場を完成させたこと、同ゴルフ場は、本件契約で予定されていた場所と同じ場所にあり、平成九年一〇月、株式会社日本エネルギー商事の運営にかかるものとして、「宇都宮ロイヤルゴルフ倶楽部」の名称で開場したこと、株式会社日本エネルギー商事はかねてから被控訴人が設置する予定であった本件ゴルフ場につき被控訴人と入会契約を締結していた会員が、右ゴルフ場の施設をメンバーとして使用すること(非会員の使用料は平日につき一万七〇〇〇円、土日祝祭日は二万七〇〇〇円であるところ、平日土日祝祭日とも一万〇五〇〇円。予約せずに一人でゴルフ場に来ても、原則としてプレイすることができるという特典がある。)を認めており、そのサービス内容は、本件契約において当初予定されていたところと遜色がないものであること等の事実が認められる。右の各事実によれば、平成九年一〇月、株式会社日本エネルギー商事が「宇都宮ロイヤルゴルフ倶楽部」の名称で右ゴルフ場を開場し、控訴人らと被控訴人との間で被控訴人が設置予定であった本件ゴルフ場につき入会契約を締結していた会員に対し、メンバーとして右ゴルフ場の施設を利用することを認めたことをもって、これにより被控訴人の本件入会契約上の債務の本旨にしたがった履行がなされたものと認めるのが相当である。

(2) この点に関し、控訴人は、被控訴人が募集に当たって発行したパンフレット(甲一〇)に記載された会則によれば、被控訴人は自分が経営管理する「ジェイアンドピーゴルフクラブジャパン」という名称のゴルフ場を開場する債務を負っているのであって、株式会社日本エネルギー商事が経営する「宇都宮ロイヤルゴルフ倶楽部」を開場したことをもって、債務の本旨にしたがった履行がなされたものとは認められないと主張する。しかしながら、本件契約が締結された平成三年当時のわが国において、建設工事中に将来の完成を見込んで募集が行われた場合には、その入会契約における開場予定時期は幅のあるものであったとみるべきであり、会員募集に応じて入会契約を締結する側においては、開場が確かで、ゴルフ場の場所とかいわゆるグレードや提供されるサービスに大きな差異がなければ、開場の時期の遅れやゴルフ場の名称や経営主体の異同については余り厳格に考えないのが一般的であったことは公知の事実であって、本件についても特に例外であったこという事情は認められないこと前記のとおりであるところ、前記認定のとおり、「宇都宮ロイヤルゴルフ倶楽部」は、本件契約において当初から計画されていた場所である栃木県宇都宮市横山地区に開設されたゴルフ場で、《証拠省略》によれば、規模、グレード、サービスの内容等においては募集時に表示されていたところとそれ程遜色がないものであることが明らかである。そうすると、ゴルフ場の名称や経営主体こそ当初の予定とは異なるとはいえ、前記のとおり、平成九年一〇月、被控訴人が当初約定した場所に、約定した規模、グレード相当の本件ゴルフ場を完成させ、株式会社日本エネルギー商事が経営する「宇都宮ロイヤルゴルフ倶楽部」の名称でゴルフ場を開場させ、当初約定したのと同程度の内容のサービスを控訴人が受けられるようにしたことにより被控訴人は本件契約の債務の本旨にしたがった履行をしたものと認めるのが相当である。控訴人の右主張は採用することができない。

3  開場遅延の状況

《証拠省略》によれば、被控訴人は、当初本件ゴルフ場について、正会員一三五〇名を予定していたが、いわゆるバブル経済崩壊の影響を受けたのに加え、平成三年八月には茨城カントリークラブに関する大型詐欺事件が発生して、ゴルフ会員権に対する買い控え傾向に拍車がかかったことから、実際に募集に応じてきた正会員数は六一一名に止まり、平成四年三月ごろには会員募集の中止を余儀なくされるに至ったのであるが、平成二年一〇月に本件ゴルフ場の建設事業に着手し、同三年一月ごろから樹木の伐採工事を行い、同年四月ごろには一部を除いて右伐採工事を終了したが、そのころ判明した本件ゴルフ場用地内に多量に分布するベントナイトという粘盤岩地質と平成三年夏から秋にかけての長雨により初期工事が遅れ、同年一〇月ごろには、地元地権者及び所轄警察署の要望を受けて、交通安全対策及び交通渋滞の緩和を図るため、公道から本件ゴルフ場へ通じる進入路を変更せざるを得ないことになり、右変更後の進入路が農業振興地地域内の農地を通過することになったため、右進入路用地を地元地権者が主体となって行う土地改良事業によって非農地化する必要があり、平成四年一一月には土地改良事業施行の認可が下り、平成五年五月末には進入路の舗装工事が完成したものの、その後の換地等の諸手続に時間を要し、平成七年に至るまでこの進入路を使用して行うことを予定していたG調整池工事に着手することができない状況が継続し、また、G調整池が本件ゴルフ場に設置予定の一八ホールの内六ホールとクラブハウスの建設工事を行うために必要不可欠な防災工事であった関係から、その六ホールとクラブハウスの建設工事にも着手することができない状況に置かれたこと、平成八年になって右問題は解決し、同年一二月末までに一八ホール全ての造成工事及び張芝工事が終了し、そのころには平成九年一〇月に開場することが明確な形で予定できるようになったこと、本件ゴルフ場の開場予定時期を経過した代替措置として、被控訴人は平成五年四月一日以降本件ゴルフ場の会員に対し、被控訴人グループに属する企業が経営しているゴルフ場で本件ゴルフ場の近隣に位置する規模、質の面でも遜色のない二か所のゴルフ場を当該ゴルフ場の正会員と同等の資格で利用できる機会を提供し、さらに同年五月一五日からはもう一か所同様のゴルフ場を追加してその便宜を図ってきたことが認められる。

4  本件契約解除の意思表示の効力

本件契約における開場予定時期は前示のとおり早くとも平成四年一〇月以後であって、その後のゴルフ場建設工事の進捗状況並びに当時の社会経済状況に照らして、右工事の遅延に関して予想される合理的な遅延期間が経過した時という、かなり幅のある弾力的なものであったとみられるものであったところ、前記のとおり、本件ゴルフ場の開場遅延も、基本的にはバブル経済崩壊後の景気の悪化と消費の停滞等の諸事情によりゴルフ会員権の販売が低迷し、予定していた資金を確保できなかったという事情に加え、広大なゴルフ場開発に伴う予測の困難性から生じたもので、それにもかかわらず本件ゴルフ場工事は続行され、平成九年一〇月には開場されることがほぼ確実に見込まれるまでになり、平成九年一〇月には、当初約定の場所において、「宇都宮ロイヤルゴルフ倶楽部」の名称で、控訴人が当初約定と同程度のサービスを受けることができるゴルフ場が開場して、債務の本旨にしたがった履行がなされたものと認められることを考えると、右開場時期の遅延は、前示合理的な期間内のものと認めるのが相当である。そうすると、控訴人が本件解除の意思表示をした平成八年一〇月ころは右にいう合理的な遅延期間内の時期であることは明らかであるから、控訴人の右解除の意思表示はその効力を生ずることができるものではないものといわなければならない。

5  よって、その余の点について判断するまでもなく、開場遅延を理由とする債務不履行解除に基づく控訴人の請求は理由がない。

二  錯誤及び詐欺の主張について

1  控訴人は開場の遅延の事実をもって民法九五条の錯誤無効を主張するのであるが、前記のとおり、本件契約における開場の時期は、平成四年一〇月以後の合理的な遅延期間の経過した時であると解すべきであるから、たとえ本件開場の遅延が控訴人の予想を超えるものであったとしても、それは単に見通しを誤ったというにすぎないのであって、本件契約の無効原因となるべき要素の錯誤があったものということはできない。この点に関する控訴人の主張は採用することができない。

2  また、詐欺の点についても、本件契約が締結された平成三年当時のわが国においては、既に説示したとおり建設工事中に将来の完成を見込んで会員募集が行われたゴルフ場についてその開場が当初の予定より数年程度遅れることが常態化していたことに照らすと、本件契約を締結するに当たって被控訴人が控訴人に対し本件ゴルフ場が平成四年一〇月に開場すると説明して欺罔したとの事実はこれを認めることができないから、この点についての控訴人の主張は採用することができない。

三  本件契約は訪問販売等に関する法律一〇条一項一号の適用除外(営業行為)に該当するか。

商人の行為は営業のためにするものと推定され(商法五〇三条二項)、商人がその営業のためにする行為は商行為とすると規定されて(商法五〇三条一項)いるところ、控訴人は営利を目的とする商人であるから、本件契約は営業のためにするものと推定され、右推定を覆すに足りる証拠はない。したがって、本件契約は訪問販売等に関する法律一〇条一項一号に定める営業行為に該当し、控訴人はいわゆるクーリングオフの告知に関する書面の交付を受けていないことを理由として本件契約の解除を主張することはできないものといわなければならない。

四  控訴人の予備的請求について

控訴人は、仮に本件契約の解除が認められないとしても、開場遅延及び開場したゴルフ場が当初の入会契約内容が著しく異なるのは不完全履行であり、被控訴人は控訴人に対しこれにより生じた損害を賠償する責任があるところ、控訴人は入会に値するサービスを何一つ受けていないから、少なくとも入会金相当の五〇〇万円の損害を受けた旨主張する。

しかしながら、本件契約における開場予定時期は前記のとおり平成四年一〇月以後で、予想される合理的な遅延期間が経過した時という幅のあるものであって、前記のような経過に照らせば、本件ゴルフ場が開場した平成九年一〇月は右合理的な期間内と考えるのが相当であり、開場された本件ゴルフ場の規模、サービスの内容等は募集時に表示されていたところとそれ程遜色がなく、これをもって不完全履行ということはできないし、これにより控訴人が金銭的損害を被ったと認めることはできず、この点に関する控訴人の主張は採用することができない。

五  結論

よって、控訴人の本訴請求はいずれも理由がなく、主位的請求を棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、当審で追加された予備的請求も棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法六七条、六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小川英明 裁判官 近藤壽邦 川口代志子)

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